セルフ・コトびととは、まずは 独学 で構造の視点を日常に取り入れるステップです。
誰かに指導されるのではなく、Noteの記事やモヤモヤの箱などのコンテンツを通して、自分の生活や職場で試してみる。
小さく、静かに、でも確実に。
ここでは急ぐ必要はなく、むしろ時間をかけて自分の感覚と向き合うことが大切になります。
ある人は、出勤前の10分間、昨日のやりとりを振り返る時間を作っていました。
「昨日のあの場面、相手の領域に入り込みすぎていたかもしれない」
「もう少し半分の距離感を保てば、無理なく続けられたかも」
こんな小さな気づきの積み重ねが、
セルフ・コトびとの本質
です。
正解探しではなく、自分なりの
ちょうどよさ
を見つけていく旅なのです。
ただし、独学には限界があります。
文章や図解で理解していても、
実際の場面で迷うこと
は多い。
たとえば
・「半分で関わる」は分かるけれど、その境目があいまいになる
・「足るを知る」を意識して削ったら、周囲から手抜きに見られた
・構造のズレを感じても、どう整理して伝えればいいか分からない
これらは、自分一人で考えていても 堂々巡り になることがあります。
1on1は、
答え合わせをする場
ではありません。
むしろ、独学で試したことを、 一緒に俯瞰して見直す時間 です。
ある相談では、職場で頻繁に頼まれごとを引き受けてしまう方がいました。
本人は
断らないことが優しさ
と思っていましたが、やがて自分の時間が削られ、疲れが溜まっていました。
そこで1on1では、依頼が来る流れを紙に書き出し「 どこで境界を越えているか? 」を可視化しました。すると、半分の距離感を超えるタイミングが明確になり、翌週から少しずつ線を引けるようになったのです。
このように必要な時にだけ活用していただけるための 1on1 です。
1on1で整理がつくと、 また独学の時間 に戻ります。
ただしこの時の独学は、最初の頃よりも確実に解像度が高まっています。なぜなら、境界原則を 「知っている」 から 「使っている」 という状態に近づくからです。
1on1はあくまで 補助輪 。
主役はあくまで 日常の中での試行錯誤 です。このサイクルを繰り返すことで、境界原則は単なる知識ではなく、自分の習慣や判断基準の一部になっていきます。
セルフ・コトびと+時々1on1は、それ自体が完成形ではありません。
独学を続けていると、もっと体系的に構造を学びたい場面や、より複雑な関係性を整えたい局面に出会います。そこから先は、養成講座や組織特化講座に進むこともできます。
けれども、セルフ・コトびとでの経験は すべての土台 となります。
自分で考え、試し、必要なときだけ外部の視点を借りる。
この姿勢こそが、 コトびとの最初の資質 なのです。